まちの未来・イメージ工房 平成28年度第7回ゼミの御案内平成29年3月18日(土)開催

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成28年度第7回ゼミの御案内―
平成29年3月18日(土) 14:00~15:30開催
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「里山・里海が拓く未来」
会 場 小郡地域交流センター 1階 実習室
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

まちの未来・イメージ工房 平成28年度第6回ゼミの御案内平成29年1月29日(日)開催

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成28年度第6回ゼミの御案内―
平成29年1月29日(日) 14:00~15:30開催
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「広域経済圏となる「里海」」
会 場 小郡地域交流センター 1階 実習室
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

まちの未来・イメージ工房(第6回) 開催記録メモ
1 日時及び場所
平成29年1月29日(日) 14:00~15:30  小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ  広域経済圏となる「里海」
3 内 容
本日のゼミでは、本書の第5章「広域経済圏となる里海」の部分を要約した資料等により前田先生からお話がありました。
 里山と里海がどんどん合体し始めています。弓削島の村上律子さんは「里山」の人達と繋がり、中国山地の山あいにある神石高原町という町と物々交換を始めました。まず瀬戸内の海水をアマモと一緒に煮て作った「藻塩」を里山へ送ります。里山の人達はその塩と採れたての野菜で「漬物」を作ります。すると今度は里海の人達が… というように無限の連鎖が続いていきます。綿花の復活に取り組む新里カオリさんは、別の山里と繋がりました。群言堂などのブランドで素材にこだわった服を提案する会社、島根県大田市の「石見銀山生活文化研究所」です。新里さんは、ここに分厚い手ざわりの尾道・向島の帆布を届けます。するとその布が現代の最先端をいくファッションになります。
 また、東京から毎年何度も通って里山・里海暮らしを「年間生活の一部」にしている人達がいます。NPO法人田舎時間のサラリーマン達です。2002年の夏、山形・上山の農家と都会人が繋がったところから、里山通いは始まりました。基本は1回、1泊2日。3月には山菜とり、6月はさくらんぼ、7月はブドウ、10月はラ・フランスで11月はリンゴと、「果樹王国」の年間ラインナップは豪華そのもの。知り合いの知り合いが入れ替わり参加して繋がりを深めていっています。
 ゼミの中では、様々な繋がり方について意見交換しました。どこかに移住したり、知らない土地に住居を構えるのは、とても心理的なハードルが高く勇気が必要です。しかし、NPO法人田舎時間のサラリーマン達のように、その地域に通うことが年間生活の一部となるような「関係人口」になるのであれば、そこまでハードルは高くありません。
 その場合、どこの地域と関係を結ぶかが重要になっていくわけですが、地域の名前を出した時に、パッと誰かの顔が思い浮かぶかどうかがとても大きいと思います。「あそこにいけばあの人がいる」って場所になることが大きな意味をも持ちます。地方創生に欠かせない関係づくりは、お金や物などではなく、やはり人と人で繋がっていくのではないでしょうか。
◎本日のゼミで学んだこと
人の奪い合いではなく「関係人口」をどれだけつくるか。

まちの未来・イメージ工房 平成28年度第5回ゼミの御案内平成28年12月11日(日)開催

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成28年度第5回ゼミの御案内―
平成28年12月11日(日) 14:00~15:30開催
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「“記憶”と“体験”による「限界」の突破」
会 場 小郡地域交流センター 1階 実習室
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

まちの未来・イメージ工房(第5回) 開催記録メモ
1 日時及び場所
平成28年12月11日(日) 14:00~15:30  小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ  “記憶”と“体験”による「限界」の突破
3 内 容
本日のゼミでは、本書の第4章“記憶”と“体験”による「限界」の突破-「過疎の島が病人をよみがえらせる」の部分を要約した資料等により前田先生からお話がありました。
広島県との県境にある愛媛県上島町弓削島。そこに住んでいる人の大半は、戦前に島で生まれ育った人です。その弓削島には10年前まで認知症のお年寄りを受け入れる施設がなく、「ぼける」と島を出て海の向こうにある街中の施設に入らざるを得ませんでした。そんな中、大好きなふるさとの島でお年寄りに天寿を全うしてもらおうと島民の有志が立ち上がりました。介護の資格をとり、建物を探し、なんとか食事と寝泊りできる環境を整えましたが、そこには都会の施設にある介護器具などは一切ありません。でも、それが良かったのです。島に戻ってきたお年寄りたちは、長年食べてきた島の食事をして、毎朝陽だまりの中を散歩していると、みるみる元気になりました。何もない島こそ最高の施設だったのです。
大学で染色を学んだ新里カオリさんが尾道に移住してきました。尾道の向かいに浮かぶ向島に一軒だけ残る帆布工場に魅せられたからです。昔は島中で綿花が育てられていました。新里さんが草木染をしようと耕作放棄地を借りて綿花の栽培を始めると、昔を懐かしみ島の人が集まりだしました。綿花の活用の仕方についても最初のうちはどんな製品を作って売るかばかりを考えていましたが、そのうち売るのはもったいないと思うようになりました。世界のどこにもない瀬戸内の服をつくって自分たちが着る。それこそが都会の人をうらやましがらせる「豊かさ」と感じたからです。
ゼミの中では、弓削島の「NPO法人しまの大学」で行われている活動について意見交換しました。「しまの大学」は地域の人たちの困りごとや夢を、地域外の人や会社などと協力して実現させる取組みです。アンケートによって島民から出てきた地域課題は、「①船便が減少している。②医療や介護のサポート体制が不足している。③商店が少なくなってきた。④若者が遊べる娯楽施設が少ない。⑤イノシシが出没し農作物を荒らす。⑥雇用先が少ない。⑦高齢化が進んでいる。⑧耕作放棄地が増えている。」の8つに集約されています。これは船便をバスや電車に置き換えれば山口市の課題と重なりますし、全国の地方都市が抱える課題とも共通です。これらの課題を最初に解決することができたならば、その自治体又は地域が日本の地方創生のトップランナーとなることでしょう。やまぐち街なか大学の元学長だった廣中平祐先生が「これから地域は学ぶことをやめたところが敗者になる。」と仰っていたのを思い出したゼミでした。
◎本日のゼミで学んだこと
地域住民のモチベーションレベルを如何に高め、意欲を持たせるか。

まちの未来・イメージ工房 平成28年度第4回ゼミの御案内平成28年10月15日(土)開催

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成28年度第4回ゼミの御案内―
平成28年10月15日(土) 14:00~15:30開催予定 
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「SATOUMI」が変える世界経済
会 場 小郡地域交流センター 1階 実習室 予定
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

やまぐち街なか大学 
平成28年度まちの未来・イメージ工房(第4回) 開催記録メモ

 1 日時及び場所

平成28年10月15日(土) 14:00~15:30  小郡地域交流センター・実習室

2 開催テーマ  「SATOUMI」が変える世界経済

3 内 容

本日のゼミでは、本書の第3章「SATOUMIが変える世界経済-『瀬戸内海生まれ日本発』の概念が広がる」の部分を要約した資料及び水産庁の平成27年度水産白書を抜粋した資料により前田先生からお話がありました。

 今や里海は“SATOUMIO”として世界に広まり、国際学会で“里海宣言”が出されるようになりました。SATOUMIは、地中海をはじめ、アメリカ、インドネシア、タイ、中国などの「内海」や「湾」などで、人の暮らしに近接した海の解決策になろうとしています。アメリカ東部のチェサピーク湾(チェサピークとは先住民の言葉で「貝を育む偉大な海」を表す)では、上流にある牧場から家畜の排泄物など大量の「富栄養化物質」が流れ込み、貝がほとんど取れなくなりました。その湾を「貝のいる海」に戻すのに一万人以上の市民が「カキ」のオーナーになってカキを育て続けています。また、インドネシアのジャワ島では、マングローブの密林を切り開いた広大なエビの養殖池で、エビが病気にかかり大量に死ぬようになりました。そのため、切ってしまったマングローブを植えなおし、水の中で繁茂していた藻をもう一度はやし、アマモと同じ「海のゆりかご」の役割を回復させました。さらに、養殖の効率ばかり追求して「エビだけを養殖していた」ことも見直し、ほかの魚も一緒に育てました。そうすると、エビだけを育てていたときの三倍エビが育つようになりました。

 ゼミの中では、水産白書の数値等について意見交換しました。平成27年の水産物輸入量は249万トン、金額は1兆7,167億円で、中国、米国、チリ、タイが上位を占めます。輸出については56万トン、2,757億円で、香港、米国、中国で全体の6割を占めます。

明治末から大正初期にかけて日本人は、魚介類を年間1人当たり3.3キロしか食べていませんでした。正月や祝い事など“ハレ”の日にしか食べなかったのでしょう。その後、国力の向上により昭和初期には15キロに増加し、1950年代後半から「三種の神器」の一つとして電気冷蔵庫が普及したことから、新鮮な魚が漁村でなくても食べられるようになりました。これに伴い1960年代には年間1人当たり25〜30キロになり、2001年には40.2キロを記録しました。その後は消費者の魚離れもあって、徐々に消費が縮小し、2013年には27キロと1960年前後の水準に戻っています。

ほんの50年間で日本人の暮らしは大きく変化しています。そんな中、モノが手に入りにくかった50年前の方が幸せを感じたと言う人が多いのはなぜでしょうか?

 ◎本日のゼミで学んだこと

単に過去に戻るのではなく、失ってしまったものにもう一度価値を見出す。

まちの未来・イメージ工房 平成28年度第3回ゼミの御案内平成28年9月11日開催

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成28年度第3回ゼミの御案内―
平成28年9月11日(日) 14:00~15:30
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「地球の限界の克服」という課題
会 場 小郡地域交流センター 1階 実習室
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

やまぐち街なか大学
平成28年度まちの未来・イメージ工房(第3回) 開催記録メモ

1 日時及び場所

平成28年9月11日(日) 14:00~15:30  小郡地域交流センター・実習室

2 開催テーマ  「地球の限界の克服」という課題

3 内 容

本日のゼミでは、本書の中間総括「地球の限界の克服という課題(マネーとは異なる豊かな解決策を)」の部分を要約した資料及び平成28年8月10日に国の有識者会議から公表された「地域の課題解決を目指す地域運営組織(その量的拡大と資質向上に向けて)」の中間報告資料により前田先生からお話がありました。

 世界では今「食料高騰」が異常なまでに進んでいます。また「獏食」と呼ばれる現象が本家ともいえる中国から新興国にも広がっています。草原の保水機能を高めていたと見られる潅木が開発でどんどん切られ、畑では旱魃が頻発するようになりました。それでも開発は続けられています。限界が近づいているこの状況にどう立ち向かうのでしょうか。

著者の取材に対し、世界屈指のPEファンドの共同創業者であるヘンリー・クラビス氏が、マネーによる解決策を語ってくれました。「世界全体を見渡し限界に達した、あるいは環境が悪化してすぐにでも対応しなければならないところを特定する。必要な額を計算し、信じられないほどの額のマネーをつぎこむ。世界中から有効な先端技術を選び出し、適切な形で問題を起こした地域に重点配備する。そうすれば結果はおのずと出る。地球の問題に対しての結果も、投資に対するリターンという結果も。」と彼は自信に満ち溢れていました。しかし著者は、マネー資本主義の中で考えうる最高の答えを聞いた気がしたとしながらも、この答えには、それぞれの地で生きる人々の日々の営みへの視点が欠けているとし、「里海資本論」というまったく別物の解決策を提示しなければならないとしている。

 ゼミの中では、地域運営組織に関して様々な意見交換をしました。地域運営組織を機能から見ると、地域課題の解決方法を検討する「協議機能」と、その課題解決に向けた取組みを実践する「実行機能」に分類されます。また、組織形態から見ると、協議機能と実行機能を併せ持つ「一体型」と、協議機能と実行機能を切り離して、いずれかの機能を有する「分離型」があります。

山口市の地域づくり協議会は、自治会を母体としているものが多く、現状では協議機能を主とした一体型となっていますが、これから事業を進展させるためには、機動的な意思決定や事業リスクを切り離す等の観点から、分離型に移行する時期に来ているように思います。

 ◎本日のゼミで学んだこと

問題解決の「解」を行動が伴うように本気で考える。

まちの未来・イメージ工房 平成28年度第2回ゼミの御案内平成28年7月24日開催

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成28年度第2回ゼミの御案内―
平成28年7月24日(日)14:00~15:30
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「邪魔もの」が21世紀の資源
会 場 小郡地域交流センター1階 実習室 
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

 まちの未来・イメージ工房(第2回) 開催記録メモ
1 日時及び場所
  平成28年7月24日(日) 14:00~15:30
  小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ  「邪魔もの」が21世紀の資源
3 内 容
 本日のゼミでは、第2章「邪魔ものが21世紀の資源―里守が奇跡の海を育てた」を要約した資料により前田先生からお話がありました。
 岡山県の東の端にある備前市「日生(ひなせ)」。瀬戸内海有数の漁業の町の顔は「海のゆりかご」と呼ばれる海草の「アマモの森」です。実はこのアマモの森は長い間、ほとんど無くなっていました。アマモの種を30年前から蒔き続け、成果が出たのはここ4、5年のことです。
 高度経済成長期に海は赤潮によって漁獲高が半減しました。漁師たちは稚魚の養殖と放流に頼りましたが、獲れる魚は一向に増えません。そんな中、長年海を見てきた地元漁師の本田和士さんは「アマモがなくなったからではないか」と直感していました。その本田さんが1981年に岡山県職員の田中さん(現在のNPO法人「里海づくり研究会議」事務局長)と出会い、アマモの森の復活に乗り出しました。しかし、魚がどう育つかは知っていても、アマモがどうやって増えるかは知りません。同じころ県水産試験場で漁獲量減少の原因究明をしていた福田富男さんたちが注目したのも多くの魚の産卵場所であった「アマモの壊滅」でした。アマモはイネ科に近く、種子で増えます。種をまくことで消えたアマモ場を復活させようと研究員と漁師たちの「二人三脚のプロジェクト」が始まりました。しかし、種をつけることは知っていても、どんな条件で発芽し、成長するのか知りません。根気よく観察を続けているうちに、海底にカキ殻があるとアマモが根を張りやすいことを発見しました。こうした気づきから「アマモの森」は挽回の局面に入っていきます。
 漁の方法は、「つぼ網」という獲り過ぎることのない「里海ならではの漁」です。この3年ほどアオリイカ、カレイ、タイなど、かなり高めの価格で売れる魚が増えています。アマモの森は間引きをしたほうが元気になります。刈り取ったアマモは、石風呂や畑の肥料などに使われます。アマモの別名は「竜宮の乙姫の元結の切り外し」といい、竜宮城の乙姫が長い髪を結ぶのに使ったのがアマモといわれています。なんと粋な名前を昔の人はつけたことでしょうか。
 ゼミの中では、無駄なく循環させる昔からの知恵と技術に関する話題で盛り上がりました。著書の中に石風呂の床にアマモを敷く話が紹介されています。山口市には、徳地や秋穂に今も使える石風呂が残っています。海に近い秋穂では著書にあるようにアマモを敷いていたかもしれませんが、海から遠く離れた山奥の徳地では何が使われていたのか?みんなでいろいろと詮索してみた結果、薬草を使っていたのだろうということになりました。薬草といえば昔は鋳銭司に薬草園があったという話も飛び出し、身近な地域資源の一つとして参加者の興味を引いていました。

◎本日のゼミで学んだこと
様々な人が出会って繋がることで、挽回の局面が開ける。

まちの未来・イメージ工房 平成28年度第1回ゼミの御案内平成28年6月12日開催

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成28年度第1回ゼミの御案内―
平成28年6月12日(日)14:00~15:30
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「海からの地域再生」
会 場 小郡地域交流センター 実習室 
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

やまぐち街なか大学 平成28年度
まちの未来・イメージ工房(第1回) 開催記録メモ
1 日時及び場所
平成28年6月12日(日) 14:00~15:30  小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ  海からの地域再生
 平成28年度のゼミがスタートしました。
 今期のゼミでは、井上恭介、NHK「里海」取材班著『里海資本論-日本社会は「共生の原理」で動く(角川新書)をテキストとして、山口の未来を考えていきます。
 本日のゼミでは、第1章「海からの地域再生―古き筏が瀬戸内海を変えた」を要約した資料などにより前田先生からお話がありました。
 日本最大の内海である瀬戸内海。日本の人口の4分の1以上、3500万人が周辺に暮らすこの海でカキ養殖は始まりました。
 しかし、高度経済成長の時代、最も景色が変わった場所のひとつが瀬戸内海です。
 カキの養殖場所は主に干潟でしたが、どんどん埋め立てられて工場が建ち、それまで一番近い海で行われてきたカキ養殖は沖へ出るしかなくなりました。
 その後、海岸でできなくなった養殖をどこでするか、というレベルをはるかに超える事態が瀬戸内海に襲いかかります。
 深刻な「海洋汚染」です。窒素やリンが、あまりに大量に海に流れ込んだため、海が栄養だらけになりました。
 すると今度は、窒素やリンで増えるプランクトンが大量に発生します。
 海が窒息する「赤潮」という現象です。
 海中のプランクトンの増加で一時は上向いていた漁獲高も減少に転じ、やがて最盛期の半分に落ち込んでいきました。
 こうして人々にとって身近だった海は遠い存在となり、海がいくら悲鳴を上げても誰も気づかない状況が進んでいきました。
 その瀕死の海が40年のときを経て蘇りつつあります。
 工場排水や生活雑排水の規制の効果が大きいのですが、理由はそれだけではないと言われ始めています。「カキ筏」のおかげだというのです。
 カキは、たった1個で1日に風呂桶一杯分の水を取り込み、プランクトンをこしとって食べます。それが瀬戸内海全体で65億個。
 巨大な「天然のろ過装置」が海の中で年がら年中稼動しているわけです。
ゼミの中では、広島湾の海水を約5日でろ過する計算になるカキの浄化能力に感心する一方で、山口湾にはなぜカキ筏がないのか?といったことが話題になりました。
 いい魚が獲れる海のそばには必ず山と川があるといわれますが、広島湾も例外ではありません。
 広島市を流れる太田川は水量が豊かなうえ6本の支流に分かれているため、広範囲にわたってカキの餌となる植物性プランクトンを広島湾に注ぐことができるのです。
 広島のカキ養殖の歴史は古く、1600年代には養殖が始められていたようですが、今のようなカキ筏による養殖は比較的最近になってからです。
 ではなぜ稚貝のついたワイヤーをぶら下げて海中で養殖する方法(垂下法)が編み出されたかというと、広島湾はある場所から極端に水深が深くなっていて、その地形がカキの養殖に適しているからだとか。
 夏場は深いところに、冬場は浅いとことにカキを沈めるようにするのがポイントのようです。
◎本日のゼミで学んだこと
自然のことを真に理解しなければ、自然の恵みを得られない。

まちの未来・イメージ工房 平成27年度第9回ゼミの御案内平成28年3月20日開催

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成27年度第9回ゼミの御案内―
平成28年3月20日(日)14:00~15:30
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「田園回帰前線」
会 場 小郡地域交流センター 実習室 予定
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

やまぐち街なか大学 平成27年度
まちの未来・イメージ工房(第9回) 開催記録メモ

1 日時及び場所
平成28年3月20日(日) 14:00~15:30  小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ  田園回帰前線
3 内 容
本日のゼミでは、第5章「田園回帰前線」を要約した資料をもとに、前田先生からお話しがありました。

農山村への移住に対する願望の大きさは、そのまま国民の田園回帰傾向を表しています。「移住定住永住という言葉を整理すれば、最初の3年を移住、3~10年を定住、10年以上を「永住と呼ぶことができます。第1の移住の長期化は定住化であり、そこの最大の問題は仕事です。第2の移住の長期化は「永住化」です。この段階では多くの移住者が子供を含めた家族としての暮らしになります。したがって、家族単位でのより長期の定住のためには、家族のライフコースに応じた課題に対応していかなければなりません。これらに関して著者は、従来の移住者に対する支援が、「移住の時期ばかりに集中しており、その長期化に対しては政策上の関心が著しく薄かったことを指摘しています。そして、移住者家族のライフスタイルやライフステージに応じた支援のあり方が議論されるべき時期に来ているとしています。

UJIターンしたものの地方の生活が合わず、結局Oターンして都会に戻っていくケースもよく見られます。ゼミの中では、農山村移住の3大問題といわれる仕事住宅コミュニティに関して様々な意見がありました。近ごろ住宅については、どこの地方でも自治体などで空家バンクに取り組みはじめ、受け皿づくりが進みつつあります。
残る問題は仕事とコミュニティですが、農山村では「働き方」と「暮らし方」が密接につながっていると考えられます。仕事については「ナリワイ」という形で、大掛かりな仕掛けを使わずに、生活の中から仕事を生み出し、仕事の中から生活を充実させます。そのために、生産や生活の小さな「技」を当たり前に持つ地域住民、特に高齢者からそれらを伝授してもらうことに大きな意義があり、この部分がコミュニティの価値だと思います。ときには農山村の「濃密過ぎる人間関係」に対して都市住民から嫌悪感を示されることがありますが、この濃密な人間関係こそが今後の農山村移住を促進する重要な「地域資源」となる可能性があるのではないでしょうか。

◎本日のゼミで学んだこと
田園回帰こそが、日本の少子化を解決する。

 

まちの未来・イメージ工房 平成27年度第8回ゼミの御案内平成28年1月31日(日)

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成27年度第8回ゼミの御案内―
平成28年1月31日(日)14:00~15:30
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「新しい政策の位置づけ」
会 場 小郡地域交流センター 実習室
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

やまぐち街なか大学 平成27年度
まちの未来・イメージ工房(第8回) 開催記録メモ

1 日時及び場所
平成28年1月31日(日) 14:00~15:30  小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ  新しい政策の位置づけ
3 内 容
本日のゼミでは、第4章「今、現場には何が必要か」の後半部分を要約した資料や総務省の地域おこし協力隊の資料などにより、前田先生からお話がありました。

過去の農村政策の中心にあったのが、格差是正のためのインフラや箱モノなどのハード整備でしたが、著者が新しい支援方法を分析・整理していくと、①「補助金から交付金へ」、②「補助金から補助人へ」、③「中央政府から地方政府へ」、③「政府から新しい公共へ」といった政策の変化をみることができるとしています。
新潟中越地震後に言われはじめたのが、「足し算の支援」と「掛け算の支援」があるという考え方です。前者はコツコツとした積み重ねを重視するものであり、例えば高齢者の愚痴、悩み、小さな希望を丁寧に聞き、希望を掘り起こすプロセスです。一方、後者の「掛け算の支援」は、具体的な事業導入を伴うもので、従来型の比較的短期間で形になるものです。こうした支援のタイプの区別は重要な意味を持ちます。それは負の領域で「掛け算」をしてはいけない。符号が負のときに「掛け算」をすれば負の数が拡大するだけだということです。つまり復興支援では、まずは被災した人々に対して寄り添うような地道な支援が重要であり、それをせずに地域の有力者だけの意見を聞き、いきなり事業を仕掛けてしまうとむしろ地域は混乱し、衰退がより加速されてしまう可能性があります。だから「掛け算の支援」は、十分な「足し算の支援」の後に初めて実施すべきものなのです。

ゼミの中では、地域おこし協力隊に関して様々な意見がありました。2009年の制度発足以来、その数は毎年増加し、2014年12月現在、444自治体で1,511名の隊員が活躍しています。そして、協力隊にとって農山村の位置づけは4つのタイプがあると言われています。「仕事の場」、「自分探しの場」、「貢献の場」、「定住の場」です。このような多様な動機を持つ若者が、地域おこし協力隊として農山村に集まり、「補助人」(地域サポート人材)として活動し、そして少なくない割合で、その地域への定住を図ろうとしているのです。

◎本日のゼミで学んだこと
地域おこし協力隊は、地方移住への入口として機能している。

まちの未来・イメージ工房 平成27年度第7回ゼミの御案内12月19日(土)

やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成27年度第7回ゼミの御案内―
12月19日(土) 14:00~15:30
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「補助金から交付金・補助人へ」
会 場 小郡地域交流センター 実習室
    (住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213  E-Mail iria@c-able.ne.jp

やまぐち街なか大学 平成27年度
まちの未来・イメージ工房(第7回) 開催記録メモ

1 日時及び場所
平成27年12月19日(土) 14:00~15:30  小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ  補助金から交付金・補助人へ
3 内 容
本日のゼミでは、第4章「今、現場には何が必要か」の前半部分を要約した資料などにより、前田先生からお話がありました。

著者はここで改めて「内発性」「総合性・多様性」「革新性」について論じています。簡単に言うと、「内発性」は地域住民が当事者意識を持つこと。「総合性・多様性」は支援策の柔軟性(特に資金使途の自由度)を高めること。「革新性」はそもそも地域づくりには変革~創造というような要素が備わっていることを理解していることです。
このようなことを意識した支援は、国レベルではなく地方自治体から始まりました。著書の中では、次の特徴を持つ鳥取県の中山間地域活性化推進交付金が紹介されています。
① 交付金の使途は、ソフト事業とハード事業の両者にわたり制限はない。
② 地域は、交付金の3年間の年度配分を事業中に変更することができる。
③ 事業の申請用件は、その地域で「ワークショップ的なものを行うこと」だけである。
④ 採択の審査は、地域住民のプレゼンテーションに対して採点方式で行う。
このような新しいタイプの支援策が県レベルで見られるようになる前に、鳥取県内では市町村レベルでの挑戦がありました。それは智頭町の「ゼロ分のイチ運動」、すなわちゼロ(何もないところ)からイチ(何か)を創りだす運動です。鳥取の町と県で生まれたこれらの支援策には、「内発性」「総合性・多様性」「革新性」という地域づくりの本質的要素を促進する意図が埋め込まれています。その結果、いずれのケースでも、①主体性を促進するボトムアップ型支援、②長期にわたる支援、③自由度の高い支援という特徴を持っています。逆に考えれば「行政の押し付けによる支援」「使途が厳しく制約されている支援」「単年度の一回限りの支援」が、地域づくりに相容れないことは明らかです。

ゼミの中では、行政の地域マネジメントのあり方について意見交換しました。新しい支援策を実行するためには、制度や規制の運用だけではなく、個別の事情に踏み込み、積極的にかかわることが必要になります。しかし、「自治体職員が陥りやすい勘違い」について、椎川忍著『地域に飛び出す公務員ハンドブック』に次のように例示されています。
① 現場の本当の問題や住民の生の声を踏まえずに、国などがつくった既存の法令や制度を忠実に運用することで仕事をした気持ちになる。
② 実体験に基づくことなく、また、相手の立場や苦しみを理解せずに、机上の理屈だけを言って、規則や制度などを守って良かったという気持ちになる。
③ 公平・公正を担保するという建前に縛られすぎて、自助努力して頑張っている人を、自助努力もしないで依頼心ばかり強い人たちと一緒にしてしまって応援しようとしない。
優れた地域づくりを行うためは、この逆が自治体職員の働き方となるのは明らかです。

◎本日のゼミで学んだこと
自治体職員よ。大志を抱け!