山口盆地考 2018 第9回 平成30年12月13日(木)19時~20時半

山口盆地考2018(第9回)
平成30年12月13日(金) 19:00~20:30
講師 中野良寿(アーティスト、山口大学教授)
テーマ :「かがわ山なみ芸術祭」
会 場 山口情報芸術センター・多目的室
参加人数 22名

講座内容
地域の名前を冠したアートプロジェクトが新潟の越後妻有大地の芸術祭、瀬戸内芸術祭など代表的な芸術祭をあげるにとどまらず、日本の中で急速に広がりつつあります。地域アート(Community-Engaged Art)という言い方もされる昨今、本講師がエリアキュレーター兼、アーティストとして参加した「かがわ・山なみ芸術祭2016」の報告会を行いたいと思います。地域コミュニティーと連携しつつ芸術の純粋性を維持して様々な表現を探求するにはどのような方策があるのか、、、。興味がある方、とりあえずのぞいてみようという方、歓迎いたします!

参加者からの感想や、科目実施を通して学んだこと
90年代までの現代美術の発表の場が大都市を中心としていたのに対し、近年の現代美術の発表の場が地方都市や山間部などへ移行している現状や背景の紹介により、地域の課題や地域性を生かしたプログラムが日本全国で活発に開催されていることが分かりました。また、全国の芸術祭の一覧によって、その概要が理解できました。
開催テーマとなっている「かがわ・山なみ芸術祭」に関する設立背景として、瀬戸内国際芸術祭やその仕掛人でもある北川フラム氏の存在や文脈の紹介により、それらの運営方法や位置付けの比較考察の中でトップダウン型とボトムアップ型という表現で考察があり、大変わかりやすかったです。
「かがわ・山なみ芸術祭」はボトムアップ型と呼ばれる手法で、地域住民や地元アーティストが中心となり運営母体を組成し、エリア・キュレーターを任命し、会期中にそれぞれのエリアごとに展開していくというものでした。参加した各アーティストの紹介もあり、地域性や地理的特徴を生かした様々な表現手法が行われ、多くの来場者に恵まれたことや今後の課題も紹介されました。
また、お祭りという地元住民に根ざした求心性の高いものや何らかの聖なるものに魅了される感受性や人間性に響くものが人々を結びつけたり、感動させたりするのではとの考察も大変、印象的でした。
また、学生さんの参加が多く、全体的に若く賑やかな印象の講座となりました。

山口盆地考 2018 第8回 平成30年11月30日(金)

山口盆地考2018(第8回)
平成30年11月30日(金) 19:00~20:30
講師 渡辺栄(アーティスト)+渡辺京太
テーマ :「イタリア~アートな生活と街づくり」
会 場 山口情報芸術センター・多目的室
講座内容
 イタリア、ミラノに長く滞在されている渡辺夫妻より、初期キリスト教時代のモザイク画から、美術学校の生徒たちが制作発表している最新のアート表現まで、約1時間に編集された映像を視聴しながら、ご紹介頂いた。レオナル・ド・ダヴィンチの《最後の晩餐》やミケランジェロの《ロンダニーニのピエタ》、ロンバルディア派の画家たちの作品など、必見の作品から、日本ではあまり知られていない珍しい作品まで、じっくり鑑賞できた。
 ミラノの街並みは大聖堂を中心に同心円状に広がっている。また、ドゥオーモ広場、メルカンティ広場、スカラ広場など、市内各所にある広場が市民生活に重要な役割を果たしている。ミラノ・コレクションなどによって、最先端の流行発信地としてのイメージが強いが、実は、地下鉄駅構内に古代ローマの遺跡が保存されているなど、歴史を大切にしており、新しい表現も伝統への深い理解から出てきている、ということをお話頂いた。

参加者からの感想や、科目実施を通して学んだこと
 映像試聴後の質疑応答では、小説『ダ・ヴィンチ・コード』が提示した《最後の晩餐》の新解釈や、デ・キリコの晩年の作品、2015年に開催されたミラノ万博、ミラノの美術学校の様子についての質問が出た。
 1時間の映像に、42ものトピックが簡潔に編集してあり、大変充実した講座だったと、参加者の多くから大好評だった。

山口盆地考 2018 第7回 平成30年10月19日(金)

山口盆地考2018(第7回)
平成30年10月19日(金) 19:00~21:00
講師 藤川哲(山口大学教授)
テーマ :「光州ビエンナーレ2018+釜山ビエンナーレ2018報告」
会 場 山口情報芸術センター・多目的室

講座内容
 講師が9月17日から23日にかけて韓国の2都市でおこなった国際美術展調査の報告。光州ビエンナーレは「想像の境界線」をテーマに掲げ、5.18光州事件を題材としたコミッションワーク(主催者側からの注文制作作品)や現代アートを通して見る現代社会、北朝鮮の社会主義リアリズム絵画などを紹介。釜山ビエンナーレは「分断されれば立つ」をテーマに、DMZ(非武装地帯)近くの村で撮影された映画や、北朝鮮で通貨と同じ扱いを受けたこともある韓国オリオン社製のチョコパイを大量に展示したインスタレーションなどが強い印象を残す。それぞれ金正恩委員長と文在寅大統領の対話を受けて、「境界線」、「分断」をテーマに反映させた出品作が多かった。また釜山市立美術館展で開催されていた「ボタニカ展」では植物を題材にする作品を集めており、「山口盆地考」との比較対照が可能だった。

参加者からの感想や、科目実施を通して学んだこと
重いテーマの作品が多いことがわかった。
社会の批評装置としての現代アートの意義を再確認できた。
光州事件について勉強になった。

山口盆地考 2018 第4回平成30年7月13日(金) ヨーロッパ・グランド・ツアー2017報告会

第4回やまぐち街なか大学山口盆地考 2018のご案内 
平成30年7月13日(金) 19:00~20:30

ヨーロッパ・グランド・ツアー2017報告会
2017年に開催されたヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア)、ドクメンタ(ドイツ)、ミュンスター・スカルプチャー・プロジェクト(ドイツ)を含め、現代美術作家である鈴木啓二朗が参加したエジンバラ(スコットランド)で行われたパトリック・ゲデス・ラーニング・フェスティヴァルへの参加など、アーティストの視線で旅の最中に撮影した写真や映像でヨーロッパ視察をお伝えします。
お近くの方は是非ご参加ください。

参加無料
場 所 YCAM2F多目的室