山口盆地考 2018 第10回 平成31年2月8日(金)19時~21時

山口盆地考2018(第10回)
平成31年2月8日(金) 19:00~21:00
講師 岡村和典(Yau 一級建築士事務所 代表)
テーマ :「建築を楽しもう」
会 場 山口情報芸術センター・多目的室

講座内容
皆さんは、建築にどんな興味を持っておられるでしょうか。あるいは無関心でしょうか。私たちを取り巻く何気ない建築は良きにしろ悪きにしろ、私たちにいつしか語りかけ、 対話しある時は強要し、身体や精神に関わっています。楽しく美しい印象や快適性、反面、不快感や使い難い、機能性はどうだろうと様々な建築があります。今回私が撮った面白い・元気になる建築をダッシュ・物見遊山し、建築の魅力を楽しく語り合いましょう。

参加者からの感想や、科目実施を通して学んだこと
一級建築士で県内外での豊富な経験や実績のある岡村和典さんが手がけた建築物や近代からポストモダンに至る建築物の紹介を写真やビデオを使って、大まかには4部構成でご紹介いただきました。
第一部では岡村さんがプロポーザルで選出され、手がけられた阿知須にある「きららドーム」や下関にある「海響館」の事例を見ながら、建築の存在が人間に与える影響やその景観にどのように調和させていくのか、自然災害などの外的要因や物理的かつ技術的な問題解決の手法についてのお話を聞きました。また、若い頃に原広司さんの事務所に所属していた時に深く関わった大分県湯布院にある末田美術館の建築もご紹介いただきました。
第二部では近代建築の巨匠3名(フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローヘ、ル・コルビュジェ)のそれぞれの建築スタイルやコンセプトなどを、実際に岡村さんが見て撮影した写真によって、紹介していただきました。
第三部では現代建築として、ブラジルの首都ブラジリアを構想した建築家で都市計画家のルシオ・コスタの下に手がけたオスカー・ニーマイヤーによる自然や人間の持つ穏やかな曲線を生かした建築物の紹介があり、アルヴァ・アールトからの引用で、「建築の目的は物質の世界を人間の生活と調和させることである。建築を人間的にするということは、より良い建築を意味し、そして、単なる技術的なものより、はるかに大きな機能主義を意味する。」という建築の目的や役割、人間との関わり合いが伝わる内容でした。
第四部では、ポストモダンの代表的なスーパーアーキテクト達の紹介があり、日本人建築家ユニットのSANAAやヘルツォーク&ド・ムーロン、フランク・ゲーリーなど、これまでにはない新たな領域の建築物の紹介やスイスとドイツの国境沿いにあるヴィトラ・キャンパスの建築物をビデオとともにご紹介いただきました。
コンピュータでの定式化したアルゴリズム的なデータ処理によって出来上がる建築を危惧しつつ、プロセスを通してのアイデアのひらめきやなにか人間的な本質を建築に応用していく姿勢を大事にされているところがたいへん印象的でした。また、最後に本来の建築の目的に対して、コンペ、指名、入札などの選定プロセスについての課題や問題点も簡単にご指摘くださいました。