やまぐち街なか大学 IDOM
まちの未来・イメージ工房
―平成28年度第1回ゼミの御案内―
平成28年6月12日(日)14:00~15:30
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ :「海からの地域再生」
会 場 小郡地域交流センター 実習室
(住所:山口市小郡下郷609番地1)
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】 イメージ工房学級委員 棟久
TEL 090-7130-6213 E-Mail iria@c-able.ne.jp
やまぐち街なか大学 平成28年度
まちの未来・イメージ工房(第1回) 開催記録メモ
1 日時及び場所
平成28年6月12日(日) 14:00~15:30 小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ 海からの地域再生
平成28年度のゼミがスタートしました。
今期のゼミでは、井上恭介、NHK「里海」取材班著『里海資本論-日本社会は「共生の原理」で動く(角川新書)をテキストとして、山口の未来を考えていきます。
本日のゼミでは、第1章「海からの地域再生―古き筏が瀬戸内海を変えた」を要約した資料などにより前田先生からお話がありました。
日本最大の内海である瀬戸内海。日本の人口の4分の1以上、3500万人が周辺に暮らすこの海でカキ養殖は始まりました。
しかし、高度経済成長の時代、最も景色が変わった場所のひとつが瀬戸内海です。
カキの養殖場所は主に干潟でしたが、どんどん埋め立てられて工場が建ち、それまで一番近い海で行われてきたカキ養殖は沖へ出るしかなくなりました。
その後、海岸でできなくなった養殖をどこでするか、というレベルをはるかに超える事態が瀬戸内海に襲いかかります。
深刻な「海洋汚染」です。窒素やリンが、あまりに大量に海に流れ込んだため、海が栄養だらけになりました。
すると今度は、窒素やリンで増えるプランクトンが大量に発生します。
海が窒息する「赤潮」という現象です。
海中のプランクトンの増加で一時は上向いていた漁獲高も減少に転じ、やがて最盛期の半分に落ち込んでいきました。
こうして人々にとって身近だった海は遠い存在となり、海がいくら悲鳴を上げても誰も気づかない状況が進んでいきました。
その瀕死の海が40年のときを経て蘇りつつあります。
工場排水や生活雑排水の規制の効果が大きいのですが、理由はそれだけではないと言われ始めています。「カキ筏」のおかげだというのです。
カキは、たった1個で1日に風呂桶一杯分の水を取り込み、プランクトンをこしとって食べます。それが瀬戸内海全体で65億個。
巨大な「天然のろ過装置」が海の中で年がら年中稼動しているわけです。
ゼミの中では、広島湾の海水を約5日でろ過する計算になるカキの浄化能力に感心する一方で、山口湾にはなぜカキ筏がないのか?といったことが話題になりました。
いい魚が獲れる海のそばには必ず山と川があるといわれますが、広島湾も例外ではありません。
広島市を流れる太田川は水量が豊かなうえ6本の支流に分かれているため、広範囲にわたってカキの餌となる植物性プランクトンを広島湾に注ぐことができるのです。
広島のカキ養殖の歴史は古く、1600年代には養殖が始められていたようですが、今のようなカキ筏による養殖は比較的最近になってからです。
ではなぜ稚貝のついたワイヤーをぶら下げて海中で養殖する方法(垂下法)が編み出されたかというと、広島湾はある場所から極端に水深が深くなっていて、その地形がカキの養殖に適しているからだとか。
夏場は深いところに、冬場は浅いとことにカキを沈めるようにするのがポイントのようです。
◎本日のゼミで学んだこと
自然のことを真に理解しなければ、自然の恵みを得られない。