平成25年度前期第3回ゼミの御案内次回のゼミ開催日程が決まりましたので、ご案内いたします。
皆様のご参加をお待ちしています。
8月24日(土) 14:00~15:30
コーディネーター 前田哲男氏(山口県立大学教授)
テーマ:歴史の流れに逆らおうとした町
会 場 小郡地域交流センター1階 実習室
住 所:山口市小郡下郷609番地1
駐車場 有り
参加料 無料
【お問合せ先】
イメージ工房学級委員 棟久和成
TEL 090-7130-6213
E-Mail iria@c-able.ne.jp
やまぐち街なか大学 平成25年度(前期)
まちの未来・イメージ工房(第3回) 開催記録メモ
1 日時及び場所
平成25年8月24日(土) 14:00~15:30 小郡地域交流センター・実習室
2 開催テーマ 歴史の流れに逆らおうとした町
3 内 容
本日は、ケース③で取り上げられている北海道夕張市と占冠村について、前田先生から要約した資料によりお話がありました。夕張市はかつて石炭、今はメロンが有名ですが、夕張を一番有名にしたのは財政破綻した自治体であるという点です。また、占冠村は夕張市の東側に隣接し、かつてリゾート開発の成功事例として称賛された村です。
夕張市のコーホート図(2000~05、05~10)は、中学、高校卒業を機に一気に若者が出ていって、ほとんど戻ってこないうえに、それ以外の流入もない状況を示します。また、財政再建団体に指定された07年以前も、すでにかなりの人口減少があったことがわかります。
夕張市の住宅、水道、下水道、病院などは、石炭会社が作ったものです。民間企業の活力によって栄えた町は、その民間企業の撤退によって衰退を余儀なくされますが、夕張市は、産業の反映が前提になっていた公共施設を市が引き受けました。さらに、閉山した炭鉱跡地にレジャー施設をオープンさせました。けれども石炭産業に代わるほど観光産業が伸びていないなか、人口減少と従来水準の公共サービスの維持を両立させるのは無理な話です。著者は、栄華をふたたび夢みるという無理な背伸びをせず、破綻しそうになる前に思い切った措置を講じることの必要性を主張しています。
また占冠村は、全国自治体人口一人当たり公共施設延床面積ランキングで1位になりました。それは、日本で有数のアルファリゾート・トマムが自己破産したときに、村が事業の存続を目指して施設を引き受けたことが全国最大の保有面積になった理由です。著者は、いずれ廃墟にせざるを得ないかもしれない施設のためにお金を使うことよりも、早めに施設に見切りをつけることを促しています。
ゼミの中では、これまで当ゼミで何度も議論してきた「街の美しい縮め方」のことが話題になりました。今では全国の多くの地方都市が超高齢・人口減少社会に突入したところであり、今後は夕張市のように「移転集住」や「市街地形態の再編」が行われる地域があちこちにでてくるでしょう。しかし、いくら移転集住を進めたとしても現状の住民が場所を変えて1年に一歳ずつ歳を取っていくにすぎない訳ですから、若者を増やしていく政策がなければ同じことの繰り返しになってしまいます。地域を存続させていくには、小さくても地域の資源を生かし、時代の流れに合う産業を育てることが欠かせません。
◎本日のゼミで学んだこと
民から官は、延命措置にしか過ぎない。